太陽光パネルを設置した施設で地震が起きても、問題ないのか?
A. 耐震設計されており安全性は高いですが、万一破損や漏電の可能性があるため、近づかず速やかに恒電社までご連絡ください。
要約
BCP対策:
地震などによる停電リスクが高い日本では、屋根上に自家消費型太陽光発電を設置することで工場稼働の停止を軽減できる。日中の自家発電が非常用電源となり、生産設備を維持するための電力供給に役立ち、早期復旧に繋がる。さらに、災害時の電力コストも抑えられ、経営面の安定性を高める。従業員の安全確保にも繋がり、災害リスクを総合的に抑えられる。
保険とメンテナンス(保守点検):
火災保険に太陽光設備も追加し、地震を対象とする特約や賠償責任保険を検討することで、パネル破損や飛散時の損害に備えられる。恒電社は保険加入自体は推奨するが、最終判断は各顧客が行い、適切なカバーを検討する必要がある。万一の際には修理費用や賠償金を確保でき、被害拡大を防ぐ。
災害後の対応:
地震や雹(ひょう)などでパネルが割れた場合は感電リスクがあるため、速やかに専門業者や電気主任技術者に連絡し、自己判断で近づかないことが重要。定期点検や日常的な観察により、破損や汚れを早期発見し安全性を保つことが望ましい。もし異常を発見した際には、電源遮断の措置も検討する必要がある。
解説者

インタビュアー

地震が起きたら、どうするの?
━━━日本では地震が多いため、気にされる方も多いと思いますが、太陽光発電設備における地震のリスクとはどのようなものがありますか?
それは「リスク」をどう捉えるかによると思います。
まず地震が起きた際の前向きな側面として、災害時には停電が長期化するリスクがあり、その際に工場や施設の稼働が止まってしまうことが懸念されます。その点、自家消費型太陽光発電を導入していれば、日中の発電を活用して非常用電源を確保することができるため、BCP(事業継続計画)対策としては非常に有効です。
実際、屋根に設置された太陽光設備が停電時でも工場内の事務室を稼働させることを可能にし、早期復旧の支えになったという事例もあります。
一方で、地震による設備側のリスクもゼロではありません。
たとえば、東日本大震災のような大規模地震の揺れによって屋根全体がねじれたり、変形することで、太陽光パネルが割れる可能性もゼロとはいえません。
こうしたリスクを正しく理解した上で、プラスの効果(停電対策や早期復旧)と、万が一の備えとしての対策(保険加入や安全設計)をバランスよく検討することが大切だと考えています。
━━━パネルの破損や漏電などが発生した場合に備えて、お客様が意識すべき保険やアフターフォローについては、どのように案内されていますか?
太陽光発電設備の導入にあたっては、万が一の事故や自然災害に備えた保険の見直しを念の為ご案内しています。
通常は、すでにご加入いただいている建物の火災保険に、太陽光設備を対象として追加していただくようご案内しています。あわせて、たとえば強風などで太陽光パネルが飛んで第三者に損害を与えてしまった場合に備え、施設賠償責任保険への加入もおすすめしています。
ただし、これらの保険の加入や補償内容の見直しについては、あくまでお客様ご自身でご判断いただく部分となります。恒電社が特定の保険商品を斡旋したり、保険契約に関与したりすることは行っておりません。
また、火災保険に地震を対象とした特約を付けるかどうかについても、建物の運用方針やお客様の考え方によって変わってきます。
リスクへの備え方に「正解」はなく、設備の重要度や事業継続の優先順位などによっても異なるため、それぞれのお客様にとって納得できる形で選んでいただくことが大切だと考えています。
━━━地震や天災によって太陽光パネルが破損した実際のケースはありますか?
はい、実際にいくつかのケースがありますが、現在のところよく聞くのは「雹(ひょう)」による被害です。強い雹が降ったことでパネルが割れてしまったという事例が確認されています。
このような被害は、恒電社が直接施工したお客様ではないのですが、他社が設置した設備が破損してしまい、「恒電社さんで交換してもらえませんか?」というご相談をいただくことがありました。
━━━天災による破損の原因には、他にどのようなものがありますか?
厳密には天災ではありませんが、カラスが石を落とすなどしてパネルを破損させてしまうという報告もあるようです。
また、直接的な破損ではないですが、鳥の糞が原因でパネルが汚れてしまうという事例もあります。
太陽光パネルは一部でも影ができると発電効率が落ちるため、そういった汚れによる影の発生も注意が必要です。
いずれにせよ、破損や汚れを早期に発見し、適切な対策を講じるためには、定期的な保守点検メンテナンスを行うことが大切です。
━━━もし地震が起きてしまった場合、太陽光パネルの状況をお客様自身で確認すべきなのか、それとも恒電社に連絡すべきなのでしょうか?地震発生後、お客様はどのように対応すれば良いでしょうか?
まず最初にお願いしたいのは「近寄らないでください」ということです。
仮にパネルが破損していた場合、漏電のリスクがあるため、無理に近づいたり触ったりせず、恒電社または電気主任技術者にご連絡いただくことが重要です。
私たちの方で安全を確認した上で、必要な点検や復旧作業を行いますので、何か異変を感じた場合は、まずは決して無理をせず、速やかにご一報いただくようお願いしています。
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