太陽光パネルの経年劣化率は何%か?設計時にはどのように劣化を見込むべきか?
A. 太陽光発電設備の経年劣化率は、一般的に年間0.3~0.9%程度と言われており、製品やメーカーによって差があります。設計時には、メーカーが提示する仕様書の劣化率や過去の実績値を参考にして、長期の発電量を試算します。
要約
経年劣化率は製品に依存:
太陽光パネルの経年劣化率は、一般的に年0.3~0.9%とされていますが、製品ごとに異なります。各メーカーが提示する減衰率の指標が基準となり、当社ではこれらの情報をもとに最適なパネルを1種類選定して提案しています。お客様には、劣化率を加味した20年間の発電シミュレーションを提示し、経年劣化を理解していただいた上で契約を結んでいます。
経年劣化の影響と対策:
経年劣化は発電量の減少として表れますが、深刻でない場合は交換せず、お客様の判断に委ねられます。主な原因は、ガラス面ではなく内部の基板や部品の破損です。劣化を完全に防ぐことは難しく、定期メンテナンスにより早期に故障箇所を特定することが重要です。なお、「使用しない」こと以外に完全な予防策は存在しません。
経年劣化を見込んだ設計手法:
設計では、パネル仕様書に記載された劣化率を基にシミュレーションを行います。年間の発電量の減少を予測し、適切な設計を実施します。例えば、年間0.4%の劣化を考慮し、20年後の発電量をシミュレーションします。このような計算によって、長期的に効率的な発電が維持できるよう設計を進めています。
解説者

インタビュアー

太陽光発電設備の経年劣化率
━━━太陽光パネルの経年劣化率についてですが、一般的にはどの程度とされていますか?
一般的には、年に0.3~0.9%程度と言われています。ただし、最新の製品では情報が変わっている可能性もありますので、その点はご了承ください。
━━━これは製品による違いが大きいのでしょうか?
はい、そうです。太陽光パネルのメーカーごとに「このパネルの減衰率は何%」と指標が提示されています。当社の場合は、最も適していると考えるパネルを選定し、その1種類をご提案しています。
━━━実際に劣化率が進んでいるかどうかは、どのように測定されているのでしょうか?これは、メンテナンスとも関係がありますか?
経年劣化は、確かにメンテナンスの話にも関わる部分があります。お客様にとって最も分かりやすい指標は、年間の発電量が減っているかどうかです。
ただし、経年劣化が進んだからといって、必ずしもパネル交換に直結するわけではありません。
━━━年間発電量が減っている事実はあれど、本当に深刻な状況でない限りは、交換するかどうかはお客様の判断ということでしょうか?
その通りです。そもそも恒電社では、20年間の発電シミュレーションを提示する際には、あらかじめ経年劣化を考慮した数値を反映しています。たとえば、年間0.4%ずつ発電量が減少すると仮定し、20年後にはこの程度の発電量になるという予測をお客様にご提示しています。
したがって、電気設備である以上、太陽光発電設備には経年劣化が起こるものだと、お客様にもご理解いただいた上でご契約をお願いしております。
設計時にはどのように劣化を見込むべきか?
━━━経年劣化を見込んで設計する際には、具体的にどのような計算や考慮をされているのでしょうか?
基本的には、パネルや製品の仕様書にある経年劣化率を使って計算し、その数値をもとにシミュレーションを作成しています。たとえばメーカーが提示する“年間○%の出力低下”を前提とし、何年後にはどの程度の発電量になるかを試算しているわけです。
━━━例えば、壊れないようにするための方法など、経年劣化の進行を遅らせるために、設置後のメンテナンスや対策は何かあるのでしょうか?
正直に申し上げて、経年劣化自体を根本的に防ぐのは難しいです。そもそも『経年劣化』と聞いて、どのようなイメージをお持ちですか?
━━━イメージとしては、ボロボロになったり、パネルが割れたり剥がれたりするようなイメージです。
そういうイメージを持たれる方が多いかもしれませんね。しかし、実際の太陽光パネルの経年劣化は、ガラス面の劣化よりも、基板や部品など“電気的な回路”が故障して発電量が落ちることのほうが多いんです。
したがって、メンテナンスでできるのは、いち早く不具合のある部品を見つけて交換すること。「そもそも使わない」以外に、経年劣化を完全に防ぐ方法はないといえますね。
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