ソーラーカーポートの設置にはどのくらいのスペースが必要か?
A. 設置スペースは車の台数とパネル容量によって異なり、一般的には2台分で約25〜30㎡、3台分なら約40〜45㎡が目安です。
要約
スペース確保と駐車レイアウト:
ソーラーカーポートの設置面積は、車の台数や太陽光パネルの規模によって異なり、2台用なら25〜30㎡前後、3台用なら40〜45㎡前後が目安となります。ただし柱が追加されることで車の出し入れが難しくなる場合も多く、駐車スペースの減少や通路幅の拡大など、使い勝手を重視したレイアウト調整が必要です。
施工中の配慮と建築確認申請:
工事の際は駐車場をグルーピングして段階的に施工し、利用者の不便を抑えます。また、2台分以上のカーポートは建築物として申請が必要で、既存の建物の届出状況も確認されるため、場合によっては図面の再作成や違法物件の撤去が求められることがあります。
解説者

インタビュアー

ソーラーカーポートの設置に必要なスペース
━━━ソーラーカーポートの設置にはどのくらいのスペースが必要ですか?
設置に必要なスペースは、駐車する車の台数や太陽光パネルの規模によって変わりますが、基本的には「車を駐車できる面積」がひとつの目安になります。
たとえば、普通乗用車1台分の駐車スペースは、おおよそ12〜15㎡(幅約2.5〜3m、奥行き約5m)程度とされています。
この目安に基づいて考えると:
- 2台分の駐車スペース(約5.5m × 5.2m)では、約4.5kW分の太陽光パネルを設置可能
- 3台分の駐車スペース(横幅約8.5m)では、約6kW分の太陽光パネルを設置可能
つまり、2台用のソーラーカーポートには約25〜30㎡前後、3台用なら40〜45㎡前後のスペースがあると、設置がしやすくなります。
また、スペースだけでなく、日当たりの良さや影になりにくい立地であることも重要なポイントです。
支柱の位置や車の出入り動線なども含めて、実際のレイアウトは現地調査をもとに最適な配置をご提案します。
まずは候補となる設置場所の広さや条件をご確認いただき、気軽にご相談いただくのが一番スムーズなスタートになるかと思います。

━━━必要なスペースを計算する際、特に気をつけていることや意識している点はありますか?
気をつけている点としては、ソーラーカーポートの設置により、お客様が想定している以上に車が停めにくくなることをしっかりと伝えた上で、最も適した設置規模をご選択して頂くことです。
たとえば、以前はスムーズに出入りできていたスペースでも、支柱が1本立つだけで車の出し入れが格段に難しくなるケースがあります。
特に、スーパーや商業施設など、“自由に停められる感覚”が前提の駐車場では、柱が入ることで「思っていたより不便」と感じる方もいらっしゃると思います。
━━━お客様が想像以上に車が停めにくくなるのは、支柱が原因でしょうか。
正確に言うと、構造体としての支柱の“本数と位置”が大きく関係します。
支柱の位置によっては、運転席のミラーから見づらかったり、出入りの際に干渉しやすくなったりするため、実際に運転してみると見た目以上に難しさを感じることがあります。
━━━その支柱は電気配線用ではなく、構造体として必要なものなのですね?
支柱はあくまでカーポート本体を支える構造体であり、なくすことはできません。
もちろん、前面に柱がない開放的なデザインの製品もありますが、その場合は基礎を深く掘る必要があり、施工の難易度やコストが上がるという点も考慮する必要があります。
━━━「停めにくくなる可能性がある」といった説明は、事前にお客様にされているのですか?
もちろん行っております。ご要望や現地の状況に応じて、具体的な使い勝手のご提案を行っています。
たとえば、5台分の既存駐車場にそのままカーポートを設置するケースでは、「これまで通り、一列に5台停めると支柱が邪魔になりやすいため、4台に減らす方が現実的です」といったご提案をすることもあります。
「駐車台数は維持できるが停めにくくなる」か、「駐車台数は減るがストレスなく使える」かといったトレードオフの中で、どちらを優先するかを一緒に考えていただいています。
さらに、駐車スペースを縮小すると設置できる太陽光パネルの枚数も変わるため、発電容量への影響もあわせて説明し、総合的な判断をお願いしています。
━━━これまでの実績として、どれくらいのスペースにカーポートを設置されましたか?
シルバーライフ様では普通車両約70台分、昭和技研工業様では約30台分のカーポートを設置しました。
━━━物理的には、200台などの大規模設置も可能ですか?
可能です。スペースとご予算が確保できれば、設置台数に上限はありません。
200台規模といった大規模プロジェクトも、設計・施工の体制を整えて対応可能です。
━━━工事の際は、従業員の方が普段利用している駐車スペースを使うことになると思いますが、車両移動がネックになることはありませんか?
おっしゃる通りです。施工エリアが従業員用駐車場として日常的に使われている場合、工事中の駐車スペースの確保が大きな課題になります。
そのため、恒電社では駐車区画をグループ分け(ゾーニング)して、段階的に工事を進める方式を取っています。
たとえば、「グループAの従業員の方は、今後2週間はこのエリアに駐車できません」といったかたちで、利便性を損なわずに施工スケジュールを調整する工夫をしています。
実際に72台分のソーラーカーポートを設置した際には、3つのグループに分けて工事を進めました。ご不便をおかけすることもありましたが、従業員の皆様にもご協力いただきながら、無事完了しました。
━━━施工後の利便性だけでなく、施工中のスケジュール調整もかなり重要になる商材なのですね。
はい、ソーラーカーポートは“設置後の使い勝手”だけでなく、“施工中の動線確保・業務への影響の最小化”といった調整力も非常に求められる商材です。
加えて、車2台分以上のカーポートは建築物に該当するため、建築確認申請も必要になります。
法令に適合していない建築物が敷地内にある場合は、それらを是正しなければそもそもソーラーカーポートの工事ができないケースもありますので、施工業者に経験と実績が求められることが確かです。
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