ソーラーカーポート設置の際に必要な許可や法規制にはどのようなものがあるか?
A. ソーラーカーポートは屋根面積が10㎡以上になると建築物扱いとなり、建築確認申請が必要です。また既存の建物が現行の法規に適合しているかもチェックされます。
要約
建築確認申請など法規制への対応:
ソーラーカーポートが屋根面積10㎡以上の場合は建築物として扱われ、建築確認申請や建ぺい率の制限に注意が必要。また太陽光発電設備として電力会社との系統連系手続きも必須で、通常は施工業者が代行してくれる。
既存建物との整合性チェック:
建築基準法の改正により、かつて適法だった建物が現行基準では不適合となるケースがあり、カーポートの申請時に是正指示が出ることもある。最悪の場合は工事断念に至るため、完了検査済証の有無などを事前に確認しておくとスムーズに進む。
解説者

インタビュアー

ソーラーカーポート設置の際に必要な法規制や許可
━━━ソーラーカーポート設置の際に関する法規制や、許可をとる必要性について教えてください。
ソーラーカーポートの設置は、場合によっては建築基準法に基づく手続き(建築確認申請)やその他の許可が必要になります。一般的なカーポートと同様に、ソーラーカーポートも一定規模以上であれば「建築物」と見なされるためです。
目安として屋根の有効面積が10㎡以上になるソーラーカーポートを新設する場合、事前に自治体の建築指導課などへ「建築確認申請」を行う必要があります。建築確認申請が受理され確認済証が交付されてから、ソーラーカーポートの工事を始めることができます。その後、完了時には「完了検査」を受けます。
また、建ぺい率(敷地に対する建築面積の割合)の規制にも注意が必要です。カーポートでも敷地内建築物の一部とみなされるため、既存建物と合わせて建築面積制限内に収まるか確認しましょう。
さらに太陽光発電設備として電力会社との系統連系手続きも必要です。自家消費型太陽光発電であっても、太陽光発電を電気設備に接続する際には電力会社への届出・承諾が求められます。これは停電時の安全確保や電力系統への逆潮流防止のためです。
このようにいくつかの複雑なステップや手続き、それに伴う留意事項などが発生してきます。
ただし、こうした各種手続きについては、通常施工業者が代行できますので、ご安心いただければと思います。恒電社では、法規制の確認や必要書類の準備・申請も含めてサポートしています。

ソーラーカーポートの設置で注意する点
━━━これまでにカーポートの設置において、苦労された点や事例はありますか?
建築確認申請が必要となる場合、その確認申請は、これから建てるソーラーカーポートだけでなく、お客様の敷地内に建っている他の建築物も対象となる点で考慮が必要だったことがあります。
つまり、過去に建築基準法が何度か改正されている中で「かつては適法だった建物が不適法と判断されること」があるのです。
その結果、ソーラーカーポートを設置しようというタイミングで建築確認申請を提出すると、役所から「そもそも既存の建築物が法令に適合していないのでは?」と指摘されてしまうケースがあります。
このような場合、建築確認申請や完了検査の段階で、既存建物に対して是正指示が出され、申請が通らなくなる、あるいは手続きに大きく時間がかかってしまうといった事態につながります。
━━━具体的にどういった基準法の点で不適合となるのでしょうか?
例えば、建築基準法の「日影による中高層の建築物の制限」に抵触する影がかかってしまっているケースがあります。建設当時は準工業地域に指定されていなかったのです。
━━━その場合、是正が必要になりますか?
「ここは是正しなさい」と指示され、修正を求められるケースもあります。
一方、「建物の改修工事ではなく、ソーラーカーポートの設置なので、本件とは関係ありません。これは昭和何年に建てられた建物なので適合していないんです。」と、説明を加えて再度申請することで通るケースもあります。正直、ケースバイケースです。
━━━その結果、実際に元の建物を是正して工事を進めるか、あるいはカーポートの設置自体を諦めるという選択肢になることもあるということですか?
その通りです。これはカーポートに限らず、例えば工場を増築する場合や、同一敷地内にもう一棟建てたいといったケースでも同様のことが起こります。
━━━では最後に、お客様が事前に確認・準備しておくべきことがあれば教えてください。
まず、現在建っている建物の検査済証、つまり完了検査を経て発行される完了検査済証があるかどうかを確認していただけると、非常に助かりますが、ない場合もお気軽にご相談くださいませ。
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