ソーラーカーポートは、どのくらいの期間使い続けられるのか?

A. 税法上の法定耐用年数は15年とされますが、実際には構造体とパネルの適切なメンテナンスにより20年以上の長期使用が期待できます。

要約

ソーラーカーポートの耐久性:ソーラーカーポートの構造体は耐食性の高い金属素材を使用し、風雪や雨水を想定した設計・施工が行われるため、20年以上の長期使用が見込めます。太陽光パネルも出力保証が20~25年程度あり、パワーコンディショナなど一部の部材交換を挟みつつ、長期運用が可能です。

設置前調査と構造計算:設置前には地盤調査をはじめ、実際の寸法や電気的要件を精査して安全性を確保します。基準風速や積雪量、地盤の硬さなどを構造計算で確認し、必要に応じて補強工事を実施。完成後は車両衝突などのトラブルにも、柱交換などで部分的に対応できる柔軟性があります。

解説者

蛎崎 泰祐
施工管理職

蛎崎 泰祐

新卒からSIerとしてIT業界を経験する。2018年に恒電社へ参画してからは事業部を横断して活躍し、エネルギーマネジメント事業部の立ち上げに貢献。現在は施工管理職としてシステム設計から、工程・安全・現場管理を一貫して担当している。徹底したリスク管理と持ち前の柔らかい人柄で、社内外を繋げ動かすハブとして活躍中。

インタビュアー

原澤陽
合同会社HARAFUJI

原澤陽

合同会社HARAFUJI・COO。マーケティングを中心に、企業の戦略および戦術支援事業に従事。
2022年から恒電社のマーケティングも担当し、電気や太陽光発電のことを、各関連分野のエキスパートに直接ヒアリングをしながら、できる限り分かりやすい表現と専門的な視点の両立を重視した情報発信に取り組んでいる。

ソーラーカーポートの耐久性

━━━ソーラーカーポートの耐久性はどれくらいありますか?

ソーラーカーポートは、適切に設計・施工されていれば、非常に高い耐久性を持つ設備です。構造体(カーポート本体)は耐食性の高い金属素材(アルミや鉄骨に亜鉛メッキ処理等)で作られており、屋外で雨風にさらされても数十年単位で使用できるよう設計されています。

ソーラーカーポートの法定耐用年数(税法上の減価償却期間)は15年ですが、これはあくまで会計上の目安です​。適切なメンテナンスを行えば、期待寿命はおよそ15〜30年程度とされています​。つまり20年以上使用している事例も多く、十分に長持ちすると言えます。

━━━カーポート部分と、パネル部分で寿命が異なるということでしょうか?

はい。とはいえ、太陽光パネル自体の寿命も長く、一般的には出力保証が20〜25年程度ついた製品が主流です。20年経過後も発電は継続しますが、徐々に出力が低下していくためメーカー保証期間を一つの目安にできます。

また、パワーコンディショナの寿命は約10〜15年と太陽光パネルより短いため、こちらは途中で一度交換が必要になる場合があります。このように、一部機器の交換や修繕を挟みつつ、トータルでは20年以上の長期運用が可能です。

建築基準法の基準に従い、その地域の気象条件(風速や積雪量)に見合った強度で設計・施工されますので、耐風・耐雪性能についても安心していただきたいです。

例えば台風の多い地域では強風に耐えるボルト・基礎設計がなされますし、雪が積もる地域では想定荷重に耐えられる柱や梁を採用します。

適切な強度で施工されたソーラーカーポートであれば、日常の風雨はもちろん災害レベルの暴風や降雪にも耐えうる頑丈さを備えています。万一に備え、防錆塗装の劣化やボルトの緩みなどは定期点検で早期に対処することで、安心して長くお使いいただけます。

施工前の調査

━━━施工前には、具体的にどのような調査を行っていますか?

「地盤調査」と、カーポートの寸法が実際に現場に収まるかどうかを確認する「現場調査」です。もちろん、太陽光発電の導入に向けた「電気的な調査」も行います。

地盤の強度は、カーポートの耐久性を左右する非常に重要な要素であり、費用や工期にも影響してきます。また現場調査によってカーポートの設計通りに現場に収まるかどうか、支障物がないか、動線に問題がないかも確認しています。

ワンポイントコラム

地盤調査とは?

ソーラーカーポートを安全・確実に設置するためには、事前の「地盤調査」が欠かせません。地番調査にも様々な手法がありますが、ここでは、我々が実施している「スウェーデン式サウンディング試験(SWS)」についてご紹介します。

まず、半スクリュー状の杭を使い、地面に打ち込んでいきます。この杭は1メートルごとにジョイントして延長しながら、所定の深さまで到達させます。アスファルト面には電動工具で穴を開け、その中に杭を挿入。調査専用の機械を使い、杭を回転させながら地中へと差し込んでいきます。ある程度の深さに達したところで、さらにジョイントを追加しながら調査を進めます。

このときに取得するのが「換算N値」と呼ばれる指標です。地盤の硬さを示すもので、調査を進めることで地層が粘土質かどうかといった詳細な情報も得られます。
工場の敷地では、地盤改良がされているケースもありますが、柔らかい地盤の場合は調査結果の図に赤色で表示されることが多く、その場合は補強工事が必要になることもあります。

なお、これは野立て太陽光発電設備の設置時にも同様です。地盤が緩い場所では、より深い位置まで杭を打ち込む必要があるため、工事費用が高くなる傾向にあります。

恒電社は、地盤調査は「専門の調査会社」に依頼しています。

本体工事を進める前に地盤調査のみをご発注いただき、その結果が「良好」であれば改めて本体工事に着手するという流れが一般的です。

━━━地盤調査について、お客様が他の工事などで既に同様のデータをお持ちであれば、新たに調査を行う必要はないのでしょうか?

はい、その場合は既存の調査データをご提供いただければ、再調査は不要です。ご提供いただいた既存データから設計上の判断が可能かどうかを確認した上で、そのまま本体工事の設計・計画に移行しています。

損害時の対応

━━━ソーラーカーポートの施工後、万が一車がぶつかって曲がったりすることはありますか?そういった場合の交換対応は可能ですか?

実際にそういった事例もございます。

対応としては、損傷した柱だけを抜き取り、その部分のみ交換することが可能です。全体を解体する必要はなく、被害が局所的であればスピーディな対応が可能ですので、もし発生した場合は、施工会社へご相談ください。

この記事を書いた人

岩見啓明
株式会社恒電社

岩見啓明

クリエイター。恒電社では動画、記事、広報、企画、セミナー運営、デジタル広告と幅広く施策を担当。個人では登録者数1万人超えのYouTubeチャンネルを運用した経験の他、SDGsの啓蒙活動で国連に表彰された経歴を持つ。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローンの国家資格)、2025年に第二種電気工事士資格を取得。

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