【省エネ法の対象事業者】屋根置き太陽光発電設備の「設置余地」定期報告へ|第46回省エネルギー小委員会

投稿日:2024年9月12日
更新日:2024年9月19日

経済産業省(資源エネルギー庁)が、日本企業の非化石エネルギー利用を促進するため、省エネ法に基づく新たな報告制度の導入を検討していることが明らかになりました。

この新制度案は、特に屋根置き太陽光発電の導入可能性に焦点を当てており、年間エネルギー使用量が1,500kl以上の特定事業者に対し、より詳細な報告を求める内容となる可能性があります。

2023年4月に改正された省エネ法では、特定事業者に対し、「エネルギー使用の合理化」(省エネ)に加え、「非化石エネルギーへの転換」に向けた中長期計画の策定と定期報告の提出が義務付けられました。※非化石エネルギーとは、再生可能エネルギーや原子力エネルギーなど、CO2の排出が少ない、またはゼロのエネルギーを指します。

追加される可能性がある報告事項

今回検討されている新制度案は、この方針をさらに具体化・強化するもので、定期報告に追加される可能性のある主な内容は以下の通りです。

  1. 建屋の屋根面積
     すでに太陽光発電設備や他の設備が設置されている部分、または用途が決まっている部分を除いた、実際に利用可能な面積を報告することが求められます。
  2. 設計時の耐荷重
     耐荷重の実測ではなく、設計時の耐荷重を報告することが求められる見込みです。これは、事業者側の調査コスト負担を軽減するためです。
  3. 既に太陽光発電が導入されている屋根面積
     既存の太陽光発電設備の面積を報告することで、追加導入の可能性がある面積を明確にします。

特に、耐荷重が小さな屋根でも次世代太陽電池の活用を視野に入れた報告が求められる可能性があり、将来的な技術革新を見据えた制度設計となっています。

なお、エネルギー管理指定工場の屋根に設備設置の管理権限がない場合は、報告の対象外とされ、実行可能性のある報告のみが求められます。

この報告では、工場やエリアごとに異なる条件に応じた報告が可能で、企業の実情や地域特性を反映した現実的な導入検討を促す狙いがあります。

報告は、個別工場単位と企業全体を総計した事業者単位の両方で求められる可能性があり、太陽光発電の導入可能性をより正確に評価できるようになります。

屋根置き太陽光の「設置余地」報告様式イメージ 出典:経済産業省 エネルギー小委員会

期待される効果と課題

この新制度案により、企業の再生可能エネルギー導入が加速することが期待されています。特に、中長期的な非化石エネルギー転換計画の策定において、設置余地の把握が具体的で実効性のある計画につながると考えられます。

しかし、初期投資や維持管理コスト、既存建物の構造上の制約、企業の本業との兼ね合いなど、導入に伴う課題も指摘されています。また、詳細な報告を行うための情報収集や分析にかかる企業側の負担増加も懸念され、今後の議論の焦点となるでしょう。

経済産業省(資源エネルギー庁)は、この新制度案を通じて日本企業の脱炭素化を促進し、2050年のカーボンニュートラル目標達成に向けた取り組みを加速させることを目指しています。この新たな取り組みが、日本の非化石エネルギー利用の促進にどのような影響を与えるか、産業界からの反応も含め、今後の展開が注目されます。

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