【食品業界編】SDGs・脱炭素の取り組みまとめ | 結局、何をしていけばいいのか?

投稿日:2023年1月23日
更新日:2023年8月18日

SDGs・脱炭素にむけて、結局、何をしていけば良いのか?

2050年のカーボンニュートラル達成に向け、企業は様々な施策に取り組んでいます。

今回“食品業界”に焦点を当て、「実際にSDGs、カーボンニュートラルにむけてどのような取り組みをしているのか?」、下記の企業の実態を調査しました。

  • DANONE | 5つの戦線
  • Farmer Brothers | 環境への”4つの”取り組み
  • General Mils | 正しく作られた食品

DANONE | 5つの戦線

なぜ、SDGs・脱炭素に取り組むのか?

DANONE | 5つの戦線のWHY

DANONEは日本でも有名な「ダノンヨーグルト」や硬水の「evian」などの食品を手掛ける企業。

“ALL ABOARD THE FOOD REVOLUTION(食品革命の全てに乗じる)”を掲げ、4つの開発目標を目指している。

「地球の人々の健康に影響を与える」
「地球の資源を保護し、更新する」
「ダノンの人々に新しい未来の創造を任せる」
「包括的成長を促進する」

これら4つの目標を達成するべく5つの活動に注力している。

DANONE | 5つの戦線のHOW

SDGs・脱炭素に対し、どのような取り組みをしているのか?

01.サプライチェーン、気候変動そして、生物多様性の保護

  • 土壌中の炭素貯蔵を増加させる再生慣行を促進することにより、土壌の健康改善を図る
  • 農家に作物の輸作、栄養素の多様化、農薬の使用を制限するための生垣を植栽支援、そして生物多様性の奨励を実施
  • より良い灌漑管理を通じて、農家が水の消費量を25%削減できるように支援
  • 灌漑がうまくいっていない地域に対し、水のエコシステムを保護する支援を実施
  • 平均より2/3低い温室効果ガス排出量を持った植物ベースの製品を消費者に提供
  • 再生農業への移行を加速するための支援
  • ダノンの生産現場、倉庫、オフィスで再生可能エネルギーの使用を増やすことにより、エネルギー消費を削減
  • 消費者に、温室効果ガス排出量削減に取り組むブランドを選択する機会を提供
  • パートナー農家との関係を深め、彼らの事業が経済的に持続可能な状態に保ちつつ、新しい農業慣行を採用できるよう支援
  • 再生農業モデルへの移行を容易にするための技術的および財政的支援を提供

02.老若男女、全ての人が健康でいられる生活をサポート

  • 乳児にとって最良の栄養源となる母乳育児をサポートおよび促進するWHOの立場を全面的に支持
  • 母乳育児と、常に母乳を維持することが難しい親のために、彼女たちへ正しい情報提供と生活における支援を実施
  • 科学界のパートナーと協力し、栄養が老化にどのように影響するかについての臨床研究を実施。特に、高齢者の意思決定能力低下と筋肉量および骨密度の低下に焦点を当てている。
  • 革新的な医療栄養ソリューションを開発し、栄養失調のある高齢者や栄養失調リスクのある高齢者が一人でも生活しやすい環境を整備。
  • 毎日の水分摂取量に関する公式の推奨情報を提供。特に妊娠中、ないし授乳中の女性、また高齢者の場合水分不足による悪影響を避けることに注力。
  • 世界中で販売されている水1リットルごとに、アジア、アフリカ、南アメリカで最も水を必要としているコミュニティへ1リットルの水を提供。また安全な飲料水へのアクセスを促進。

03.地球に優しく健康な食事を促進する

  • 国際機関、公衆衛生当局、地域社会と協力することで人々が健康的で持続可能な飲食慣行について学べる機会を支援
  • 多様な食事を促進し、植物ベースの食品に向けてタンパク質摂取量のバランスを取り戻すために準菜食主義の台頭を奨励
  • 社会的、倫理的、環境的基準を供給元を選ぶ際のプロセスに組み込んだ持続可能な供給慣行を拡大
  • ポートフォリオを拡大し、新製品、新成分、植物ベースの代替品を提供
  • 特に糖度を下げることにより、製品の栄養価を絶えず改善し、レシピを簡素化を図る
  • さまざまな地域や世代の消費者の期待に合わせた新製品を提供し、食品や味の好みに関する調査を拡大
  • 製品の成分と栄養価、および水のサイズや賞味期限/使用期限などのユーザーデータに関する、これまで以上に明確で完全な情報を提供
  • ヨーロッパで栄養スコアの使用を促進。この栄養表示システムは50以上の科学的研究にしっかりと裏付けられており、消費者から高く評価され、結果的に購入の決定に大きな影響を与えている。
  • 地元の調達、地域社会への支援、再生農業(有機農業を含む)、カーボンニュートラル、水資源の保全を通じ、消費者に人々と地球を戦略の中心に据えるブランドを選択する機会を提供

04.循環型経済に向けた対策廃棄物、リサイクル、そして再利用

  • 2016年から2025年の間に食品廃棄物50%の削減を目指す
  • 2020年にはSDG12.3の達成を約束することで取り組みを強化し、2030年までに事業とサプライチェーン内の食品廃棄物を半減
  • 余った食料をフードバンク、食料救援組織、その他の専門慈善団体に再配布し、社会的弱者を支援。グローバルフードバンキングネットワークとの合意を通してこれらの組織との協力を強化することにも取り組む。
  • イノベーションを活用し、サプライヤーとの関係、生産プロセス、製品における余剰食品の使用を最適化
  • 不要なパッケージを排除し、すべてのパッケージを100%再利用可能ないしリサイクル可能になるように設計
  • 廃棄物収集およびリサイクル能力を拡大するための効率的で包括的なシステム開発を支援
  • プラスチック包装に50%のリサイクル素材を使用し、天然資源を保護。また2025年までにヨーロッパで100%リサイクルPETを飲料部門に使用することを約束

05.美徳な食物構造を目指すべく地域でできること

  • 公衆衛生問題、食生活、および飲食物の文化的ルーツを研究することにより、地域の優先事項理解に励む。
  • 世界中の貧血の主な原因である不十分な鉄摂取問題に焦点を当て、特定のグループに栄養不足を満たすために強化された製品を開発。
  • 地元の生産者を優先:乳製品供給の90%は主に地元の家族経営農場から行われており、果物、野菜、その他の食料品の地元でのシェアを増やせるよう尽力
  • バリューチェーン全体で短い流通チャネルを優先:地元で栽培された大豆を使用し、レッドクローバー、ルツェルン、アルファルファなどの代替飼料を開発することにより、酪農家が家畜の飼料をスピーディーかつ容易に使えるよう支援
  • 世界中のダノンの従業員を保護し、安全かつ健康を目指す
  • 社会的に立場が弱いパートナーをサポート
  • ダノンと自社管轄ファンドが経済的、社会的、人間開発に不可欠なプロジェクトを推進している地域社会を支援

SDGs・脱炭素に向けて、何を提供しているのか?

脱炭素認定された水

2020年4月、evianはカーボンニュートラルを認定された生産方式にて製造を実施。

使用される材料から製造、輸送、リサイクルまで、各段階で炭素排出量を継続的に測定および削減することで可能とした。

Farmer Brothers | コーヒーへの愛を介して、繋がりを養う

なぜ、SDGs・脱炭素に取り組むのか?

Farmer Brothers | コーヒーへの愛を介して、繋がりを養う - WHY

アメリカ、テキサス州ノースレイクに拠点を置くコーヒー、紅茶をメインに様々な食品を製造するFarmer Brothers。

“TO CULTIVATING CONNECTIONS THROUGH THE LOVE OF COFFEE(コーヒーへの愛を介して、繋がりを養う)”と、CEOのDeverl Maserangは自社のレポートで述べている。

Farmer Brothersは“4つの削減”に焦点を当て、持続可能な社会に向けた取り組みを実施している。

一体、どのような削減に取り組んでいるのか?

Farmer Brothers | コーヒーへの愛を介して、繋がりを養う - 取り組み事例

SDGs・脱炭素に対し、どのような取り組みをしているのか?

Farmer Brothers | コーヒーへの愛を介して、繋がりを養う - HOW

01.エネルギー削減

  • 焙煎所の一つであるポートランドにて*RTOを設置することで、このエリアにおける天然ガス使用量の60%近く削減。
  • さらに施設全体にモーションセンサーの照明を設置し、製造が必要な時のみ機械が動くことで無駄なエネルギー排出を抑制。
  • 他にも電球を全て効率的なモノに取り替え、無駄なエネルギー削減すべく、電力要件調査を常に実施。

※RTO:Regenerative Thermal Oxidizers:有害な大気汚染物質等の排出物を破壊する大気汚染防止装置の一種

02.燃料削減

  • 長距離車両には抗力を減らし、燃費効率を向上させるトレーラースカートを追加。すべてのトラクターのボンネットの下に、カーボン排気を事実上排除できる認定クリーンアイドルエンジンがある。
  • またトラックの寝台にハイブリッド電気ディーゼル補助動力装置(APU)を設置し、ドライバーがエンジンをかけずにゆっくり休むことができるようにした。

03.廃棄物の削減

  • 現場でのリサイクルおよび堆肥化プログラムでは、紙、段ボール、ガラス、金属、食品、コーヒーの廃棄物をリサイクル。
  • さらに、地元のリサイクルプログラムやパートナーと協力し、黄麻布の袋やその他の原材料容器の別用途を探っている。
  • 最終的に廃棄物をゼロにする会社になることが目標。

04.水の削減

  • 3つのうち1つの焙煎所では、業務の特定のプロセス変更により、水の使用量を15%削減。
  • また別の焙煎所では廃水が収集されて在来植物に再分配され、地元の小川や水路から離れた場所に送られている。

SDGs・脱炭素に向けて、何を提供しているのか?

徹底した持続可能性基準と製品認証

FarmerBrothersでは様々な認証を獲得することで環境への寄与を明示している。

提携農家、自然環境、焙煎所、エネルギー排出量…など、製造過程において持続可能性に貢献していることを示す認証獲得を推進している。

Farmer Brothers | コーヒーへの愛を介して、繋がりを養う - 認証一覧

General Mills | 健康的な惑星を目指して

なぜ、SDGs・脱炭素に取り組むのか?

General Mills | 健康的な惑星を目指して - WHY?

1856年創業、アメリカの食品企業General Mills。日本でも大人気のハーゲンダッツも製造している。

“HEALTHIER PLANET(健康的な惑星)”を目指すべく8つのカテゴリーにおいて取り組みを行なっている。

気候変動、エネルギー、調達…様々な観点から持続可能な社会を目指して取り組んでいる好事例をご紹介。

General Mills | 健康的な惑星を目指して - レポートの表紙

SDGs・脱炭素に対し、どのような取り組みをしているのか?

General Mills | 健康的な惑星を目指して - HOW

01.気候変動と対策

  • 温室効果ガス排出量、エネルギー量、水量、包装、固形廃棄物削減に関連する進捗状況を常に追跡
  • サプライヤー、農家、牧場主、アドバイザー、研究者、NGOと協力し、環境、社会、経済を再生させる技術、財政、文化支援メカニズムへの投資
  • パーム油、繊維包装、ココアなどの森林破壊と土地劣化のリスクが高い自社が扱う原料の主要なサプライチェーンと地域での持続可能な調達に向け、温室効果ガス排出の対処
  • 再生可能エネルギー生成およびプロセス効率改善、ひいては自社事業からの温室効果ガス排出量に対処
  • リサイクル可能な材料の使用を増やし、材料使用の最適化、外部への協力を通じて包装における環境影響の減少
  • 食品廃棄物削減に関する業界横断的な取り組みに貢献し、余剰小工品を寄付
  • 気候の緩和と適応を目的とした、全ての持続可能性への取り組みに対するガバナンスと監視を実施

02.再生農業

  • 2025年までにグローバルバリューチェーンにおける水道管管理計画の活性化を推進
  • 2030年までに100万エーカーの農地で再生農業を推進
  • 2030年までにバリューチェーン全体で温室効果ガス排出量30%削減
  • 2050年までにカーボンニュートラルの達成
  • 生物多様性、水、土壌、家畜、農家の経済、これらの最適化サポートに従事し、結果測定を実施
  • 大学や調査機関と組み、土壌や生態系維持に向けた研究にも投資

03.水

  • 地元の水道管理者、またNGOへの出資
  • 所有しているエリアの水効率を最大化支援
  • カリフォルニアアーモンドの高度な再生農業支援

04.包装

  • 2030年までに自社の包装における全てをリサイクル、または再利用可能なものにする
  • 包装におけるサプライチェーンの温室効果ガス排出量削減
  • 再利用不可なプラスチックを減らしつつ、リサイクル可能なプラスチックの利用を増やす
  • リサイクルにおけるインフラを整備し、プラスチックが無駄にならないような円滑な経済システムの改善

05.食品廃棄物ゼロ

  • バリューチェーンにおいて食品廃棄物がどこで起こっているのかを常に把握し、食品廃棄物の削減を実施
  • 食品業界、NGO、政府とコミュニティを形成し、廃棄される食品を減らすために日付ラベルの規制を実施
  • 食品小売店、レストランなど30,000以上のステークホルダーを支援できるテクノロジーへの投資
  • 消費者に対して、食品廃棄物を減らすための教育支援を実施
  • 製造業者、食品小売店、レストラン、流通業、トラック企業など、食品に関与する人々への寄付を目的としたNGOを支援

06.再生可能エネルギー

  • 2030年までに*RE100を達成すべく、事業運用におけるエネルギーを再生可能エネルギーに移行

【RE100とは?】

一般的に「RE」は再生可能エネルギー(Renewable Energy)を意味しますが、RE100 の「RE」は再生可能エネルギー電気(Renewable Electricity)です。100 は 100%。すなわち、企業などが「事業で消費する電力を〇〇年までに 100%再生可能エネルギー電気でまかないます。」と宣言する制度が「RE100」です。

07.エネルギー効率

  • 財務ガイドラインを満たすサプライチェーン施設にて、高いエネルギー効率を継続的に実施

08.調達

  • 生物多様性、絶滅危惧種、農家の生活、気候変動などへのリスクを減らす活動を実施
  • 環境にやさしいパーム油の使用、ココア調達先である西アフリカ地域への事業支援、そして森林破壊リスクの低い繊維を利用した包装を実施

SDGs・脱炭素に向けて、何を提供しているのか?

パッケージでの訴求

前述した通り、様々な点で活動をおこなっている同社。これらの活動は商品訴求で活かされている。

例えば、下記の商品には「有機栽培された食材の利用」や「環境へ配慮して作られた穀物の利用」など、パッケージで目立つようにデザインし、商品イメージ向上を図っている。

General Mills | 健康的な惑星を目指して - HOW

SDGs・脱炭素の取り組み | 食品業界レポート

本レポートをPDFにまとめたものは、下記よりお問い合わせくださいませ。

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参考URL

記事を書いた人

原澤陽
株式会社恒電社

原澤陽

株式会社ギャプライズ、チーターデジタル株式会社にてBtoBビジネスの上流から下流まで全て経験。現在は、恒電社にてマーケティング全般を担当中。

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