【電子機器業界編】SDGs・脱炭素取り組みまとめ | 結局、何をしていけばいいのか?
更新日:2024年6月24日
SDGs・脱炭素に対して、何かしら取り組まないといけないと思われている経営者・担当者の方は多いのではないでしょうか?
実際に、日本または世界の企業ではどのような取り組みが行われているのかを把握しておくことは、自社が具体的に取り組みを進めていく上で参考となります。
本稿では、SDGs・脱炭素に向けた取り組みとして、電子機器業界ではどのような取り組みが行われているのか?を事例とともに紹介します。
目次
事例紹介|HUBER+SUHNER
HUBER+SUHNERは、スイスに本社を構える電気・光接続機器・システム開発企業です。
彼らの取り組みを下記の観点で見ていきます。
- WHY|そもそもなぜ、SDGs・脱炭素に取り組むのか?
- HOW|SDGs・脱炭素に対しどのような取り組みをしているのか?
- WHAT|SDGs・脱炭素に向けて何を提供しているのか?
WHY|そもそもなぜ、SDGs・脱炭素に取り組むのか?
彼らは、定量的なデータ管理を徹底している企業で、“人間の基本的なニーズを満たす”というミッションのために、自社にとどまらずサプライチェーン全体におけるSDGsへの取り組みを可視化しています。
サプライチェーン|自社での製造だけでなく、原材料の調達や輸送といった上流工程、さらに製品の輸送、使用、廃棄に至るまでの下流工程も含めた、製品供給に関する一連のプロセス全体を指します。
当社は、能力、機動性、安全性、持続可能性などの「人間の基本的なニーズを満たす」というミッションを掲げており、ミッションを達成するために一人一人が“結果にコミット”し、責任をもってSDGsの取り組みを行っています。
HOW|SDGs・脱炭素に対しどのような取り組みをしているのか?
さまざまな取り組みを進める当社ですが、環境面については「エネルギーの削減」「燃料の削減」「廃棄物の削減」「水の削減」と4つの観点から取り組みを進めています。具体的にどのような取り組みを行っているのか?については詳細をまとめた資料を準備しておりますので下記よりお問い合わせください。
資料はこちら。
WHAT|SDGs・脱炭素に向けて何を提供しているのか?
また、HUBER+SUHNERでは、SDGsや脱炭素への取り組みに関する「数値目標・結果」を詳細に策定しています。
そして、目標・結果を第三者機関の確認・精査してもらったのち、自社サイトに「数値目標・数値結果」を掲載することを徹底して行っているのです。
例えば、HUBER+SUHNERのような製造業において、非常に重要な役割を果たすのがお客様に製品を届けるための運送業との連携です。製造業においては、自社の手を離れた「製造後」までを考慮したSDGs・脱炭素の取り組みが必要になっています。
よって、自社だけの取り組みだけではなく「温室効果ガス(GHG)排出に関与するステークホルダーは誰なのか?」「そしてステイクホルダーの取り組み状況はどうなっているのか?」についても、利害関係者を含めて図解で示しています。
事例紹介|AMD
AMD:Advanced Micro Devices,Incの略
2社目の事例は、アメリカの半導体企業 AMDです。
WHY|そもそもなぜ、SDGs・脱炭素に取り組むのか?
まず、AMDは「気候危機への迅速で意味のある世界的な対応を」をモットーに、“家庭用太陽光システム設置に対して1,000ドルの割引を提供”しています。
また彼らはSDGs・脱炭素の取り組みには、非常に興味深い点があります。
それは、サプライチェーン総動員数で温室効果ガス排出量削減に取り組みを示している部分です。
具体的に見ていきましょう。
HOW|SDGs・脱炭素に対しどのような取り組みをしているのか?
今回は、“オペレーション(日頃の業務運営)”と“製品管理”の2つに絞ってご紹介しています。
「オペレーション」での取り組み(日頃の業務運営)
- AMDは、エンジニアリング施設、販売を行う企業オフィスなど、世界中の35を超える場所で事業を展開している。
- AMDが運営する施設全体で、環境意識を向上させるために最高レベルの誠実さとスチュワードシップを適用するよう努めている。
- 「エネルギーと温室効果ガス(GHG)排出量」「水使用量」「廃棄物と排水量」の3つにおける数値を常時観測して全従業員が閲覧できるように可視化している。
「製品管理」での取り組み
- パソコンからサーバーなど、何百万もの電子デバイスに電力を供給する革新的なテクノロジーを設計。これらの製造において環境への影響とエネルギー使用を最小限に抑えながら、人々の生活を向上させる製品の作成に努めている
- 「製品のエネルギー効率」「有害物質の削減」「製品包装」「ライフサイクル管理」、これら4点それぞれの成果を数値化し、常時観測して全従業員が閲覧できるように可視化している。
WHAT|SDGs・脱炭素に向けて何を提供しているのか?
最後に、AMDが策定している環境面における最終ゴールをご紹介します。
- スコープ1&2:2020年〜2030年におけるAMD事業からのGHG排出量の50%を削減すること
- スコープ3:製造に関わるステイクホルダーの全ての企業が、2025年までの公的排出削減目標を掲げている状態であること。また、製造に関わるステイクホルダー企業の80%が2025年までに再生可能エネルギーを調達していること。
- 目標達成にむけた進捗状況を記したデータも常時掲示し、前述したような取り組み詳細と成果がどう日もづいてるかを明瞭化できている状態であること
スコープとは?
事例でも登場しましたが、企業がカーボンニュートラルを推進するにあたり、押さえておきたい概念の一つが「スコープ」です。最後にスコープを解説してこの記事を終えます。
「スコープ」とは、サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量を評価する際に、排出の場所によってスコープ1、スコープ2、スコープ3の3つに分類する方法です。
- スコープ1:企業が直接的に排出する温室効果ガス(例:製造工程での排出)
- スコープ2:企業が他者から供給された電気や熱の使用によって間接的に排出する温室効果ガス
- スコープ3:企業の活動に関連する他者の排出による温室効果ガス(スコープ2を除く)
スコープの範囲は以下の図解をご覧ください。
「取引先」が脱炭素化に取り組んでいる場合、あなたの会社が供給する原材料から発生した温室効果ガス排出量は、取引先にとって「スコープ3」に該当します。
取引先がスコープ3を含めて脱炭素化に取り組んでいる場合は、あなたの会社に対しても脱炭素化を求めてくるか、またはあなたの会社の取り組みがなかなか進まない場合は、すでに脱炭素化を進めている別の企業(あなたの会社の競合)に取引を切り替える可能性も出てきます。
たとえ優れた製品を製造していたとしても、そのエネルギー源がカーボンニュートラルに対応していなければ、取引が成り立たなくなる可能性があると言えるのです。
これまでご紹介した事例からも分かるように、世界ではサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルに向けた取り組みが当たり前となってきています。
この動きは早いタイミングで日本にもやってくると想定されますので、今のタイミングからスコープという概念を理解しておくこと、そして自社はスコープでいうとどこに該当するのか?を知った上で日々SDGsや脱炭素への取り組みを進めていくことが重要となります。
まとめ
- 製造業において“スコープ”の考え方を理解することは非常に重要であり、環境への取り組みを行っていない企業は今後、一部企業と取引できなくなる可能性が出てきている。
- 海外の企業では、スコープ1,2に止まらず、スコープ3での取り組みを常時定量的に計測して、サイト上に掲載するなどして、目標値および進捗状況を全てのステイクホルダーが閲覧できるようにしている。
- スコープ1,2だけではなく、徐々にスコープ3においても目標値達成に向けた動きが日本でも本格化してきている。
様々な業界の方に向けた資料も作成しております。是非、こちらもご覧ください。
参考URL
- https://www.hubersuhner.com/en/company/sustainability/environment
- https://www.amd.com/en/corporate-responsibility/environmental-stewardship
- https://www.iges.or.jp/jp/pub/re-keywords-v2/ja
【導入事例】「70点でもいいから、やろうよ。」”ものづくり”における脱炭素の現状
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