導入事例 江信特殊硝子株式会社

【導入事例】江信特殊硝子株式会社様|自家消費型太陽光発電設備を導入した理由は「製造コストである電気代対策」と「環境配慮型の事業推進」(埼玉県幸手市)

投稿日:2024年10月7日
更新日:2024年10月7日

【要約】ウクライナ情勢に起因する電気代の高騰が経営に大きな負担をかけたことが導入検討のきっかけ

江信特殊硝子株式会社について:江信特殊硝子株式会社は、1960年に創業され、特殊ガラスの製造からスタート。30年前に半導体産業に向けた製品展開にシフト。現在では売上の95%以上が半導体関連製品であり、特に石英製品の製造に強みを持つ。日本国内外に工場を展開し、火加工技術や洗浄技術を高く評価されており、ISO9001:2000も取得。すべての加工工程を自社で完結する「一貫加工体制」により、コストメリットと安定供給で優位性を発揮している。

自家消費型太陽光発電を導入した理由:2022年後半からのウクライナ情勢による電気代の高騰が経営に大きな負担をかけたことが導入のきっかけ。また、環境に配慮した企業活動が求められる中、取引先からも環境への対応状況についてヒアリングを受けることが増えた。さらに従業員の家族や次世代に誇りを持ってもらえる企業を目指したいという思いもあった。最終的に、専門性と迅速な対応を重視し、地元埼玉県の施工会社恒電社を選定。

今後の展望:今後5年から10年で、国の基盤産業である半導体分野においてさらに事業を拡大予定。従業員の技術承継と成長に注力し、柔軟な働き方を取り入れた経営を行う方針。最近の資本参加により、アイ・シグマ・キャピタルの経営改善ノウハウや丸紅グループのネットワークを活用し、国内外での販路拡大や物流効率化などを進め、企業価値の向上を図る計画。

半導体製造用石英製品の製造業 | 江信特殊硝子株式会社様

埼玉県幸手市に拠点を置き、半導体製造用石英製品の製造業を営む江信特殊硝子株式会社様

成長産業である「半導体産業」で特殊ガラスに係る技術力と総合力で支えてきた当社は、2024年7月に幸手工場に自家消費型太陽光発電を導入しました。

「『モノづくりは人づくりを業務の柱とする』という経営理念のもと、人材育成にも力を入れています。」

そう語るのは、取締役である、吉田俊秀様。

半導体製造用石英製品の製造を開始するようになったきっかけ。自家消費型太陽光発電設備の導入に至った背景や、EPC業者を選定する上で考えたこと。

そして、今後企業としてどのような想いを持って経営していくのかなど、未来についてのお話もお伺いしました。

成長産業である「半導体産業」を技術力と総合力で支える

━━━まずは御社の事業内容についてお聞かせください。

江信特殊硝子株式会社は、主に半導体製造に使用される石英製品の製造加工を手掛けています。

本社は東京都江東区にあり、埼玉県幸手市、福島県須賀川市、会津若松市、熊本県熊本市に工場や営業所を展開しています。

特に火加工技術や洗浄技術において業界で高く評価していただいており、その製品は多くの半導体製造装置に使用されています。また、ISO9001:2000の認証を取得し、かねてより品質管理にも注力しています。

━━━石英製品の特性と製造プロセスについて教えていただけますか?

石英ガラスは純粋な二酸化ケイ素(SiO₂)から作られ、高い耐熱性や化学的安定性を持つことから、「半導体製造」において重要な役割を果たします。主な役割としては、高温耐性の容器や光透過性の素材、化学的に安定した装置の部品などが挙げられます。

製造プロセスでは、天然の水晶や高純度のシリカ粉末を溶かし、成形し、最終的に加工・検査を行う工程を経て製品が完成します。

━━━なるほど。貴社の経営理念や人材育成についてもお聞かせください。

「モノづくりは人づくりを業務の柱とする」という経営理念のもと、人材育成にも力を入れています。

多くの製造業にとって課題である技術承継についても注力しており、ベテランから若手までの人材バランスが取れているため、技術の伝承が比較的スムーズに進んでいるのではないでしょうか。

━━━創業以来同じ事業をされてきたのでしょうか。御社の歴史と技術の進化についてお聞かせください。

いえ、当社は1960年に設立され、最初は工業用プラント向けの特殊ガラスをメインに製造していました。

しかし、特殊ガラスの需要が減少し始めたため、30年ほど前から半導体産業にシフトし、今日に至ります。この決断は成功し、現在では売上の95%以上が半導体関連製品となっていますね。

━━━最近の半導体市場の変化についてはいかがでしょうか?

コロナ禍における半導体不足の影響で、世界的にテレワークやオンライン会議が急速に普及した結果、半導体製品の需要が一気に高まりました。

この流れが当社にとってはかなりの追い風となり、業績が好転しました。しかし、その後は各社が在庫を過剰に抱えることになり、業界全体でブレーキがかかっている状況と言えますね。

ただし、半導体にまつわる産業は、長期的には成長産業であることは変わらず、特にTSMCや北海道に新設される半導体工場の進出が国内市場を活性化させる要因となっています。

━━━そのような競争環境の中で、御社の強みはどういった点なのでしょうか?

TSMCをはじめとする半導体関連企業の日本国内進出は、当社にとってプラス要因ではありますが、当然ながら競争環境も激しくなっています。

そうした中で、当社は他社と比較して優位性のある「技術力」を持っており、これまで60年以上にわたって培ってきたガラス加工技術には自信があります。具体的には、ガラスを削る、磨く、火を当てるといった工程の「総合力」が当社の強みであり、そこがなかなか他社にはない技術的優位性であると考えています。

業界では特定の工程を外部委託するケースが多い中、当社はすべての加工工程を社内で完結することができます。この「一貫加工体制」がお客様から高く評価していただいており、コストメリットや安定供給の点で強みを発揮できると考えています。

━━━「モノづくりは人づくりを業務の柱とする」が経営理念だと伺いましたが、人材育成や働き方改革について、取り組みの状況はいかがでしょうか?

色々と取り組んでおりますが、その中でもインパクトがあったのは、2023年1月から完全土日祝日休みを導入し、年間休日を125日に増加させたことですかね。

判断には少し勇気が要りましたが、この大胆な取り組みが功を奏し、応募者数の増加や若手採用にも成功しています。特に、以前は営業職の採用が難しかった福島工場でも、20代前半の若手が営業として入社するなど、働き方改革の効果が現れていると思いますね。

また、今回導入した太陽光発電もそうですが、工場環境の改善にも注力し、ウォーターサーバーの設置や水冷式ジャケットの支給、工場照明のLED化、空調設備の更新も計画的に行っています。

自家消費型太陽光発電設備を導入した理由とは?

━━━自家消費型太陽光発電システムの導入をご検討されたきっかけ、理由について教えてください。

いくつかの要因がありました。

まず、2022年後半からのウクライナ情勢の影響をうけて電気代が急激に高騰し、弊社の経営にとって大きな負担となりました。例えば電気代も、3年前と比較して50%以上ほど上昇し、エネルギーコストの管理が重要課題となっていました。

また、環境配慮型の企業活動は今や企業にとって「マスト」の課題であると実感しています。取引先からもヒアリングシートの提出が求められるなど環境対応を求められることが増えましたからね。

加えて、従業員の家族や次世代に誇りを持ってもらえる会社を目指したいという思いも、太陽光発電導入の大きな動機となっています。社員の子供たちが「お父さん、お母さんが働く会社は、しっかり環境に配慮している」と胸を張って言えるような企業づくりを進めたかったのです。

━━━太陽光発電の導入にあたり、複数社を比較されたそうですが、どのような判断材料がありましたか?また最終的に恒電社を選んでいただいた理由について教えてください。

最初は日頃から取引のある商社を介して、他の業者も検討していました。

しかし、商社を経由することでメンテナンスや今後の点検において不便が生じる可能性が懸念されました。特に、太陽光発電のような専門性が高い分野では、迅速な対応と高い技術力が求められますが、複数社が間に入ることでコミュニケーションが遅れてしまい、いざという時の対応が遅くなってしまうのでは?という懸念がありました。

そのため、実績があり、埼玉県に拠点を持つ施工会社をインターネットで探していたところ、恒電社を見つけました。

恒電社は太陽光発電に関する豊富な経験を持ち、関東に密着したサービスを提供している。さらに会社同士の物理的な距離が近いことで、迅速な対応や問い合わせがしやすい点で大きな安心感を得られましたため、早速ご連絡をしました。

商社のように総合的なサポートは魅力的ではありますが、当社としては、「太陽光発電における専門性」「施工会社との直接のやり取りによる迅速な対応」を重視しました。これらの理由から、埼玉県での実績が豊富だった恒電社との直接契約を選びましたね。

導入内容の詳細

・太陽光パネル:88.81kW(415W×214枚)
・システム容量:66.60kW(33.3kW×2台)

恒電社への満足度は?

━━━恒電社についての率直なご感想と満足度、その理由について教えてください。

何よりもスタッフの皆様の対応に本当に満足しています。

特に営業担当の阿部さんや施工管理を担当してくださった蛎崎さんの対応には感謝しています。

阿部さんは、何か確認したいことがあるときに連絡すると、いつも迅速に対応してくださり、そのスピーディーな対応には非常に助けられました。

また蛎崎さんは毎週の工事内容について、事前に詳細なスケジュールを共有してくれたので、スムーズに進行することができました。

私は都内の本社勤務が多く、幸手工場には頻繁に行けないのですが、蛎崎さんから工程表と共に「来月のこの日に機材の搬入、ラフターの使用があるため、駐車場を確保してください」といった事前連絡をいただけたことで、工場側にも余裕を持って準備を指示できました。そのおかげで、製造ラインにも影響を与えることなく、すべてがスムーズに進行しました。

恒電社のスタッフは、ただ作業をこなすだけでなく、スケジュール管理や現場対応でも非常に丁寧でプロフェッショナルでした。おかげで、太陽光発電の導入プロジェクトが計画通りに進み、問題なく完了しました。非常に満足しています。

恒電社メンバーの声(営業担当・施工管理担当)

営業担当

阿部 公平
株式会社恒電社 エネルギーマネジメント事業部

阿部 公平

今回の導入プロジェクトでは、補助金の活用が非常に重要な要素でした。

補助金の申請手続きはお客様ご自身で行われたため、恒電社マターで、補助金のスケジュールに間に合わない、またはスケジュールに悪影響を与えないよう、事前準備には特に配慮しました。

補助金申請に必要となる情報は事前に全て揃え、いつでも迅速に提供できるように準備を整えていましたので、スムーズな申請プロセスを支援することができたと思います。

また、設計面においては、今回は配線ルートが非常に複雑であったため、現場調査時にお客様にその配線ルートについて詳しくご説明しました。あらかじめご了承をいただき、納得の上で発注していただく形を取りましたので、ご提案段階でお客様との認識のズレやトラブルを防ぐことができ、スムーズにプロジェクトを進行させることができました。

施工管理担当

蛎崎 泰祐
株式会社恒電社 エネルギーマネジメント事業部

蛎崎 泰祐

今回のプロジェクトでは、お客様のプロジェクト責任者様が常に現場である工場にいらっしゃるわけではなく、東京都内で勤務されることも多かったため、情報の伝達には特に注意しました。

情報の抜け漏れや曖昧な点が生じないよう、毎週、その週の工事内容や次週の作業予定を詳細に報告し、さらにそれを写真付きでご共有しました。これにより、プロジェクト責任者様がどの工程で何が進んでいるのか、そして次に何が行われるのかを正確に把握していただけるよう努めました。

また現場においては、工場長とは密に連絡を取り合い、製造ラインに影響が出ないよう工程の調整を行いました。現場の状況に応じて柔軟にスケジュールを調整し、工事が製造に支障をきたさないよう細心の注意を払いながら進めました。

何より幸手工場の皆様は本当に素晴らしい方々ばかりで、非常にアットホームな雰囲気でプロジェクトを進めることができました。毎回、休憩時間にはお茶を出していただくなど、多くの配慮をいただきました。このような温かいサポートがあったからこそ、プロジェクトがスムーズに進行できたと思っています。

プロジェクト責任者の吉田様はもちろん、現場で対応してくださった工場長をはじめ、江信特殊硝子株式会社のすべての皆様に感謝しています。

太陽光発電導入後のご感想は?

――太陽光発電導入後の評価と期待についてお聞かせください。

太陽光発電の電気代削減効果は今後長い目で確認していく必要があります。

ただ何よりも、取引先や社内での会話で環境に配慮していることを胸を張って話せるという心理的な効果が非常に大きいと思っています。以前は「環境への取り組みがまだまだ進んでいない」と、少しモヤモヤを感じながらでしたので、堂々と話せるようにったことは導入の大きなメリットですね。

あとは、先ほどもお伝えしたように、太陽光発電の導入には、従業員の家族や次世代に対する責任を果たしたい想いもありましたので、社員の子供たちが「お父さん、お母さんが働く会社は、環境に配慮した活動をしているんだ」と誇りを持てるようになってもらえることは、非常に重要な要素だと思っていますね。

――環境への取り組みについて、今後の計画はありますか?

太陽光発電導入に加え、従業員一人ひとりが日常の業務で環境に配慮する姿勢を持つことが重要であると考えています。

具体的には、電気をこまめに消す、水道の使用を最小限にするなど、日常的な節約意識を高める活動と、太陽光発電などのハード面での取り組みを組み合わせて推進しています。

また、今後は他の拠点でも太陽光発電や蓄電池の導入を検討しており、特に福島の工場は敷地が広いため、導入の規模も大きくなる予定です。補助金制度などを活用しながら、さらなる環境への投資を行う計画ですので、その際にはまず最初に恒電社にお声がけしたいと思いますよ。

今後どのような会社を目指すのか?

――最後に、今後の展望についてお聞かせください。

今後5年から10年の展望として、半導体産業という国の基盤を支える重要な分野で、事業をさらに拡大していくことを目指しています。

また、従業員の成長と次世代への技術承継にも注力し、取引先との良好な関係を維持しながら、働き方も含めて、時代に合わせた柔軟な経営を行い、引き続き企業の成長を追求していく方針です。

直近では、2024年8月9日に「アイ・シグマ事業支援ファンド4号投資事業有限責任組合」(アイ・シグマ・キャピタル株式会社が管理・運営し、日本の中堅・中小企業への投資を行う)が、特別目的会社を通じて弊社への資本参加を実施しました。

今後は、これまで培ってきた弊社の優れた技術基盤をもとに、拡大する半導体市場への製品提供を継続・強化していくとともに、アイ・シグマ・キャピタルが培った経営改善ノウハウや、丸紅グループのネットワークを活用した国内外の販路拡大、仕入・物流面での効率化などのノウハウを提供していただく予定です。

この資本参加により、経営基盤がさらに強化し、事業拡大と企業価値向上を図って、より社会に貢献する企業となっていきたいです。

――本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

インタビュアー・この記事を書いた人

恒石陣汰
株式会社恒電社

恒石陣汰

前職にて、イスラエル発のWEBマーケティングツール「SimilarWeb」「DynamicYield」のセールス・カスタマーサクセスを担当。その後、日本における再生可能エネルギーの普及と、電力業界に大きな可能性を感じ、2020年に恒電社に入社。現在は、経営企画室長兼マーケティング責任者として従事。YouTubeなどを通じた、電力・エネルギー業界のマクロ的な情報提供をはじめ、導入事例記事では、インタビュアー・記事の執筆も行なっている。

クリエイティブ担当

岩見啓明
株式会社恒電社

岩見啓明

クリエイター。恒電社では動画、記事、広報、企画、セミナー運営、デジタル広告と幅広く施策を担当。個人では登録者数1万人超えのYouTubeチャンネルを運用した経験の他、SDGsの啓蒙活動で国連に表彰された経歴も。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローンの国家資格)を取得。

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