【導入事例】埼玉県の精密加工製造業|工場の“高品質と電気代と脱炭素”の均衡を維持する裏側
更新日:2024年8月26日
「環境次第で、1~3μmほど変わってきてしまいます。」
埼玉県で、主に精密プラスチック機械部品の成形加工および販売を営む、株式会社サン精密化工研究所。
省エネと脱炭素を目的に、自家消費型太陽光発電を導入しました。
1μm(マイクロメートル)。
ミリメートルにすると、わずか0.001mm。部屋の温度が“たった1度”変わるだけで金型が変化し、品質に影響を及ぼします。
この繊細な世界の中でサン精密化工研究所は高い品質を維持しつつ、脱炭素に対して様々な取り組みを実施されています。
なぜ、自家消費型太陽光発電を導入したのか?その背景を取締役兼市場営業部長である長野篤史様に聞きました。
環境への取り組みをしないと、メーカーと取引できなくなる?
━━━御社の事業内容について教えてください。
事業形態としてはプラスチックの射出成型です。部品の製造販売と、それに付随する成形金型の設計製作を行っております。
主なお客様は大手電気系メーカー様です。また最近は自動車関係のお客様も増えており、全体の3割くらいを占めています。
━━━御社は環境面に対する取り組みのため、環境管理責任者を設けられていると聞きました。環境に力を入れ始めた時期、またきっかけは何でしょうか?
ISO14001がスタートした際に、大手のお客様が多いことから環境に対して積極的に取り組むようになりました。
お客様は先行しているため情報を頂きつつ弊社としても取り組み、ISO14001を取得しました。
━━━先んじて取り組まれたんですね。
そうですね。
まず品質についてのISO9001があり、続いてISO14001の環境という流れがありました。先んじて、というわけではないと思いますが、同業他社と比べると先行して対応していたかと思います。
━━━そのような流れの中で省エネ、脱炭素、カーボンニュートラルなどについて、具体的な施策を講じるよう取引先様から催促されることはありましたか?
実は既に、色々取り組んでいます。
ここ数年でお取引先の大手メーカー様がSBT、脱炭素の目標の中でサプライチェーンのCO2排出量を削減する目標を掲げられました。
SBT(Science Based Targets)とは?
環境省
パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準(Well Below 2℃)に抑え、また1.5℃に抑えることを目指すもの)が求める水準と整合した、5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のこと
これに伴い、弊社だけでなくお付き合いのある企業の何社かを選び「支援施策やアイデアを出す、環境に関する取り組みを一緒にしませんか?」とお誘いを頂き、弊社も取り組んでいます。
新しく始めることは「サン精密化工研究所に相談したらやってくれる」という印象がお取引先にあり、ありがたいことにお声がけ頂いています。
弊社の中でプロジェクト化し、各部から1名選出して計7名、また責任者2名を任命。このチームで省エネ、脱炭素に関する改善活動をやり始め、徐々に進んでいます。
━━━義務というよりは「一緒にやりましょう」という温度感なのですね。
強制的ではなく「一緒にやりましょう」ということで、弊社としてもメリットがあるのでお断りすることなく取り組めています。
他のメーカーからも脱炭素やCO2削減といった環境への取り組みに関する声が増えてきています。
そのため、脱炭素や省エネ促進の方向に進んでいる実感がありますね。ここ半年から1年くらいで、スピード感が上がってきています。
ですのでこのままいくと、「環境への取り組みをしていないメーカーとの取引は出来ない」ということも発生するのではないかと感じています。
この建屋を建てたときに少量の太陽光パネルを乗せましたが、ちょうど増設したタイミングが良く、太陽光発電が消費電力に寄与出来ていますね。非常に助かっています。
━━━御社の中で省エネや環境の取り組みをやってこられたと思いますが、太陽光発電導入検討の背景を教えてください。
2007年、NEDOの補助によって導入しました。それから年数が立ち、SDGsの宣言をしたタイミングで乗せ換えようという話になりました。
なぜ、恒電社なのか?
━━━実際にご検討にされるにあたり、なぜ恒電社を選んで頂けましたか?
恒電社以外にも、2社の上場企業に声を掛けていました。1社だけ見積もりが高く、もう1社と恒電社はコスト的に遜色なかったです。
正直なお話をすると、恒電社は会社の規模が上場会社2社と比べると小さかったため、不安はありました。
ただ営業の方の提案内容に全く問題がなかったですし、銀行からの評価でも財務的に問題がないとのことでした。
結果、長期的なお付き合いに問題はなく、かつ細かな対応をしてくれそうということで、恒電社を選定しました。
弊社としては大きな会社よりも、恒電社さんのような規模感の会社の方が付き合いやすいんですよね。
組織が大きくなるといろんな人がいたり、定期的に異動があったりするので長いお付き合いができないという懸念もありましたし。
実際発注して工事をしてもらいましたが、恒電社のスタッフはお世辞抜きで“良い人”が多い。仕事柄色々な業者の人に会いますが、本当に良いスタッフが多いですね。
ひとつ失敗したなという点は、こんなにも電気料金が上がるならもっと太陽光パネルをつけておけば良かったという点。電気料金がこんなことになるとは思わなかったです。
━━━電気代高騰にあたり、増設のご相談が増えてきました。一度付けた後は経済合理性が予測しやすいですし、またソーラーカーポートの設置も増えていますね。
たしかに恒電社のサイトにソーラーカーポートの事例が載っていましたね。
━━━導入後の太陽光発電に対する満足度はいかがでしょうか?
シミュレーション以上の結果なので、非常に満足しています。
“±1度”の温度にこだわる理由
━━━今後環境面に対して貴社として取り組んでいきたいことがあれば教えて下さい。
弊社の業種柄、射出成形は樹脂や金型などの温度を上げる力を使います。なので、電気の使用量が増えてしまうのは避けられない。
また成形設備は現在20~25年ほど使っておりますが、基本的なエネルギー消費が最新の設備に変えるだけで半分になったりするので、今後設備を計画的に更新して省エネを図ることを視野に入れています。
そのように省エネを進めていく一方、夏場に現場にいくと非常に暑いので、1度でも2度でも温度を下げて快適に作業が出来るようにしてあげたい。
ただし精密な部品を取り扱っているため、温度環境による金型の変化も出てしまう。
樹脂部品は寒暖差の変化が激しい部屋だと膨張収縮してしまい、寸法が変わってしまいます。
━━━では、常に温度管理を慎重にされていると?
そうですね。
基本的には金型をつくる加工機は3~4mの大きさですが、温度が2〜3度変わるだけで10〜20μmも変わってきてしまいます。
それだけで寸法が変化してしまうので一定の温度を保ち、寸法変形させない環境をつくることが重要になってきます。
金型を加工するところと製品を測定する場所では、弊社の中で設定温度を±1度の範囲以内で管理しています。
━━━電気代はかかってしまいますが、温度はセーフティーラインとして保たなければいけないんですね。
品質保証・職場環境を考えると電気代は犠牲にせざるを得ないところですが、脱炭素の点では手を付けなければいけないところなので、日々試行錯誤しています。
━━━最後に、太陽光発電を検討されているお客様に業者を選定するポイントやアドバイスがあれば教えてください。
正直一番は、経済合理性です。これが真っ先だと思います。
その上で、御社のように導入背景の裏側を発信する情報量を多くし、業者としての信頼を勝ち取るというのは方向性としてあっているのではないでしょうか。
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導入事例
様々な自家消費型太陽光発電システムの導入事例もご紹介しております。
是非ご覧ください。
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