導入事例 株式会社岩崎食品工業

【導入事例】埼玉県の岩崎食品工業が二つの工場に自家消費型太陽光発電設備を設置|“再生可能エネルギーを使った麺”

投稿日:2024年1月1日
更新日:2024年11月6日

岩崎食品工業について:1954年創業の岩崎食品工業は埼玉県でうどん等の麺類製造・販売を手掛け、スーパーや学校給食に提供し地域に貢献する食品メーカー。激しい市場変動や競争を乗り越え、現在は従業員100名以上を抱える企業です。業界の衰退にも関わらず、お客様との直接取引を大切にし、「安売りをせずに良いものを提供する」という創業者の理念を継承しています。この信念が信頼を築き、地域の食文化の一端を支えています。

自家消費型太陽光発電を導入した理由:岩崎食品工業は、2020年に太陽光発電を導入。恒電社からの提案をきっかけに検討を開始し、電気代削減、工場の遮熱による職場環境改善、地域貢献に繋がることが決め手でした。また、補助金情報もあり、経済面以外の価値を見出したことも大きかったといいます。「発電した電気を自家消費する」という提案に魅力を感じ、再生可能エネルギーを活用した取り組みで企業の持続可能性も追求しています。

今後の展望:今後は、再生可能エネルギーで製造した製品であることを商品パッケージや企業の正面に表示し、お客様に取り組みを認知してもらいたいと考えています。また、補助金制度を活用し、持続可能な社会への貢献を続けることで「いい会社だね」と思ってもらえると嬉しいと語ります。海外展開も視野に入れ、地域だけでなく広く環境問題に取り組む企業として成長を見据えています。

「“気候変動”や“持続可能”は大きなテーマです。だからといって何もやらないのではなく、まずは一歩ずつやる。その積み重ねが大事ではないでしょうか。」

1954年創業、埼玉の食品メーカー岩崎食品工業代表の神田氏は2020年10月より、太陽光発電による電気供給を開始した。

電気代削減、遮熱による職場環境改善、そして持続可能な社会への貢献。今では再生可能エネルギーだけで作る岩崎食品の麺は、地元に長く愛されてきた。

不況を乗り越え、今後は海外へ。

100年企業に向けて積極的な投資を続ける神田氏に、なぜ太陽光発電を導入したのかを聞いた。

創業者の想いを紡ぐ。お客様の声を聞く。

━━━御社の事業について教えてください。

うどんなどの麺類製造販売をメインとした埼玉県蓮田市にある会社です。スーパーだけでなく、学校給食にも提供したりと地域に貢献しながら営んできました。

高度経済成長もあれば、コンビニの台頭によりスーパー業界が厳しくなるなど、山あり谷ありを繰り返しましたが、現在従業員は100人を超え、売上も相応にあります。

現在全国的に麺屋さんは減ってきていて、30〜40年前は7,000社くらいありましたが、今は1,000社くらいじゃないでしょうか。

その中でも弊社のようにスーパーと直接やりとりしてる麺屋は100社、もしかしたら50社ほどしかないかもしれません。

株式会社岩崎食品工業 代表取締役社長 神田 広人氏

沿革

株式会社岩崎食品工業 沿革

━━7,000社が1,000社ということですが、6,000社はどうされたのですか?

ほぼ、廃業となってしまいましたね。

━━何がきっかけで減少したのでしょうか?

まず高度経済成長期に人口が増え、それによって学校給食での需要が大きく伸びました。

ただ高度経済成長後、人口が伸び悩むと各社間での競争が激しくなります。価格設定も難しくなり、結果的に衰退・廃業となってしまう企業が増えました。

私は決して昔の時代の方が良かったとは思っていません。ただ、昔あった良いものは子供たちに残していきたい。

「うどんってこういう風に作るんだよ」と、良い文化を次の世代に残していける企業にしたいです。

━━━そのような難しい市況の中で今なお、御社がお客様から信頼されている所以は何でしょうか?

私の父親でもある弊社の創業者がしきりに言っていたことがあります。

「営業マンはいらない。商品を売りにいっちゃいけない。お客様が買いに来ないといけない。」
子供の頃から聞いていて「なるほど、大人は難しいな…」と、当時は思っていました。

でも確かに「安いですよ!」と宣伝すると安く買いたたかれてしまいますし、お客様は単に金額が安いからといって商品を買うわけではありません。モノがよければ価格が高くても買ってくださる。その考え方が私のベースにあります。

あとは、お客様の声を聞くことを大切にしています。

基本的に食品メーカーは、問屋を通して販売するのが手早いのですが、それではお客様の声は聞こえません。弊社は全て直でやりとりしています。大手スーパーさんに対してもダイレクトです。このスタイルは昔から今も変わりません。

「創業者の想いを紡ぐ。お客様の声を聞く。」

こういった積み重ねが、信頼に繋がっているのかもしれません。

株式会社岩崎食品工業 代表取締役社長 神田 広人氏

工場への太陽光発電導入で電気代削減、遮熱効果、そして社員の声

━━━2022年の今となっては「持続可能性」「脱炭素」「再生可能エネルギー」「太陽光発電」などに注目が集まっていますが、御社は2019年10月からすでに自家消費型太陽光発電の検討を開始されておりました。なぜでしょうか?

理由は2つあります。

1つ目は、他の太陽光発電設置業者から*FIT制度を活用した提案を頂いたことです。

FIT(Feed-in Tariff)= 固定価格買取制度とは?
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度

資源エネルギー庁

弊社の立地は、太陽光パネル設置に向いていることがこの時初めて分かりました。

FIT制度は太陽光パネルを設置し、発電した電気を売電するという制度です。ただ当時の弊社の方針として「自社で創った電気を売る」という考え方があまりピンときておりませんでした。

2つ目の理由は、恒電社さんからの提案内容が弊社のニーズと合っていたからです。

弊社が地域貢献をより強化していく中で、恒電社代表の恒石さんとの出会いがありました。その出会いをきっかけに太陽光発電のご提案頂く機会があったのですが、恒電社さんの提案は以前私が受けたFIT制度を活用した提案とは異なっておりました。

内容は、「生んだ電気は売るのではなく、まずは自家消費しましょう。そうすることで電気代削減ができます。それだけではなく、屋根にある太陽光パネルが遮熱効果になるので更なる電気代削減と、工場内で働く従業員の方の環境改善に繋がります」というものでした。

正直こんな美味しい話、やるしかないなと思いましたね。

自家消費型太陽光発電とは?
屋根や敷地内に太陽光発電システムを設置し、発電した電気を建物の中で使用する設備

【基礎】自家消費型太陽光発電とは?埼玉の導入事例から知る”リアル”なメリットを紹介

あとは、提案頂いたタイミングが良かったですね。

ちょうど設備投資を考えていて、電気周りについてどうしようか考えていたタイミングでした。

それに加えて、行政からCO2削減による補助金も出るとの情報も貰ったので「よしやろう!」と決断に至りました。

株式会社岩崎食品工業における電力量削減率と削減額

導入した結果、職場環境改善にも効果がありました。

太陽光パネル導入以前、弊社の建物は日当たりが良く、正直夏は暑すぎて皆行きたがらない部屋があるほどでした。加えて、部屋のドアを開けると熱気が他の部屋に入ることから「早く閉めて!」と飛び交うことが度々ありました。

太陽光パネルによる遮熱効果のおかげもあり、今はこういった声はなくなりました。再生可能エネルギーだけで工場が動き、コストカットもできつつ、従業員にも喜んで貰い、環境にも優しい。そして、そこで作られたうどんが美味しい!お客様にも喜んでもらえる!

こんな素敵なことはないと思いました。

自家消費型太陽光発電による遮熱効果
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━━━経済的な面から見ても太陽光発電は魅力的でしたか?

私自身は、経済面だけで太陽光発電の導入を比較検討するのはもったいないなと考えています。「導入後どうやって自分たちの事業に繋げるのか」という考えが必要だと思います。

現在弊社で考えているのは、会社の正面、そして看板商品の肉汁うどんの箱に「再生可能エネルギーで作られたうどんであること」を記載し、お客様に我々の取り組みを知って頂くことです。

もちろん事業のベースは麺の販売ですが、環境に貢献することで「いい会社だね」と思ってもらえることも非常に良いことだと思います。

株式会社岩崎食品工業の商品

━━━実際に太陽光発電を導入されてみて、食品業界にとって太陽光発電はおすすめだと思いますか?

やった方がいいですね。

行政からの補助金もありますし、今では国をあげて普及を進めています。
今食品業界は大変な状況ですが、こういった補助金制度の活用も視野に入れて導入を検討すべきだと思います。

会社として持続できるだけでなく、環境に対しても持続可能性を考えなければいけないと考えていますので。

【導入事例】持続可能な”社会と会社”を創るために経営者がすべきこと。

後編では、食品メーカー経営者が考える”持続可能な社会に向けて何をすべきか?”について聞きました。

【後編】持続可能な”社会と会社”を創るために経営者がすべきこと。

記事を書いた人

恒石陣汰
株式会社恒電社

恒石陣汰

前職にて、イスラエル発のWEBマーケティングツール「SimilarWeb」「DynamicYield」のセールス・カスタマーサクセスを担当。その後、日本における再生可能エネルギーの普及と、電力業界に大きな可能性を感じ、2020年に恒電社に入社。現在は、経営企画室長兼マーケティング責任者として従事。YouTubeなどを通じた、電力・エネルギー業界のマクロ的な情報提供をはじめ、導入事例記事では、インタビュアー・記事の執筆も行なっている。

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